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2019年11月10日 キャリア

仕事ができない人に不足しているのは努力ではなくアイデアだ

誰にでも「できない人」になるリスクがある

イタリアの経済学者、ヴィルフレド・パレートの法則によって説明されるところでは、組織の2割程の要人が組織の8割の利益をもたらしているそうです。これは一般に働きアリの法則としても理解されています。

実際、筆者自身の経験則からいっても、この法則はある程度正しいと感じます。そしてそれは、巨大組織やランダムな集団にだけ当てはまるものではなく、選抜された小組織内でも不思議と法則通りできる人とできない人が分かれてしまうものと思います。

筆者が勤務していた外資系戦略コンサルティングファームは、多くの優秀な人材が集まっていたと思います。海外の著名大学院の卒業生や、日本の名だたる大企業で実績を上げてきた人がほとんどで、みなエース級で鳴らしてきた人材だったはずです。

しかし、みなが優秀な人たちなはずでも、入社した方の全員が全員活躍できるわけではありません。1年もたずに会社を去っていく人もまた、多くはないものの珍しくもありませんでした。無論、会社を去る背景には様々な事情があるものですが、1年以内という短期間で会社を離れる人の中には、十分に力を発揮できず去っていく人も少なくありませんでした。「できる人」と「できない人として会社を去る人」にはどんな違いがあるのでしょうか?

私の知る限り、ある一定の情熱と能力を持つ方の集団である場合では、努力の量に大きな違いはありません。そもそも人に与えられた時間は平等で、誰もがその範囲で家庭生活を営み、友人関係を維持し、レジャーを楽しんで仕事をしています。野心をもって努力したところで、10倍も20倍も努力の量の差を広げることはできません。

その一方で、成果には10倍、20倍の差が開くこともあるでしょう。外資コンサルの例で言えば、一般的にどのファームでも、キャリアが始まるジュニアの給与は500万程度でしょうが、パートナーまで昇りつめればやはりどのファームでも、数億円程度の給与になる場合もあります。努力の量は同じはずなのに、成果の違いは残酷な現実を映し出してしまいます。「できる人」と「できない人」は、いったい何が違うのでしょうか。

できる人とできない人を分けるのは

私は社内、クライアント、組織外の友人、どのケースをみていても、エースか否かを分けるのは「アイデアを持っているか否か」だと思います。職場で「できる」と認識されている人は、なにかを聞かれたときに必ず「たぶん…ではないでしょうか」と打ち返す力をもっています。

「ビジネス課題を解く」ためには、このアイデアを持つ姿勢が必須だと思います。そして、アイデアを持っているか否かと、スキルが高いか否かは必ずしもリンクしていません。スキルや経験が劣っていても、我が事として課題をとらえ、自分なりの意見を試してみることが肝要です。仮になにか間違えたとしても、そのときはまた考え直して先に進めばいいのですから。スキルがあってもアイデアがなければ、まず課題解決のとっかかりさえつかめません。
例えば 「Pythonが書けます」という人がいたとして、プログラムで何をするかアイデアを持てば「できる人」になると思います。しかしただ言われた通りに素早く書くことができるだけだとしたら、この人はきっと「アイデアを持つ人」の指示待ちになってしまうでしょう。課題を解決するのは、スキルではなくアイデアなのです。

職位が上がり、人に指示をだす立場になればなるほど、スキルよりもこのアイデアを持つ力が重要になると思います。逆に言えば、職位を上げたい≒出世したいと考えるならば、技術的スキルに磨きをかけるだけでなく、ビジネスを俯瞰し、アイデアを出す力を鍛えたいですね。私たちが提供する人工知能プロジェクトマネージャー試験も、本質的にはこのような考え方に基づいています。技術を磨いた方が「最強のアイデア」をひねり出すためのテクニックやポイントを問うているのです。

かつて高度経済成長時代の先輩技術者が達成してきたような、「日本発の新しいアイデア」がまた世界を席巻することを期待しています。

それでは、また。

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