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2019年12月20日 価値創造

私たちはビジネスの問題を解きたいのであって、プログラムが欲しいわけではない

SEからマネージャーへの心構え?

SIerやITコンサルが顧客に費用を請求するとき、たいていは人月計算で費用を算出します。どのランクの月単価がいくらと決まっており、人数を掛け算した金額にマネジメント費用としてマネージャーやパートナーの月単価×数十パーセントが上乗せされるわけです。

この金額をベースとし、あとはコンペで勝てるように割引率をいじって正価とします。 計算の方法はどの企業でもほぼ変わらないでしょう。結果として出てくる金額の違いは、各会社が抱える「人材の質」の違いであり、「ブランド料」でもあります。

こういう計算に慣れている弊害でしょうか、どうしても現場のSEは作業や労力に対して対価が支払われると思いがちです。なので本質的に意味のないシステムでも作ればお金がもらえると思ってしまいます。クライアントが「意味ない仕様だと気づいたから仕様変更したい」などと言おうものなら「こんなにやったのに今更変更など…」と立腹しがちです。

しかし本来は、仕様変更は「ここまでプロトを作ってみて、課題解決のためにより良いアイデアを閃いた」ということなので、良いことのはずだとも思うわけです。 もちろん、デスマーチを引き起こすような頻繁な変更は言語道断ではありますが…。

プログラムそのものには本来価値はなく、そのプログラムが動くことでどんな「良いこと」を起こせるのか、マネージャークラスともなればその点を意識したいですね。個人としても、誰も使わないシステムを苦労して作るより、価値のある仕事に取り組む方が喜びであるはずです。

「つまりこのプログラムは顧客にとって何の意味があるのか?」を問うことは、技術視点からビジネス視点に切り替える第一歩であるように思います。そして我が国には、SE的知見を持ちつつこのビジネス視点を持つ人材とても少ないです。両方の力を身につければ、確実に市場価値の高い人材となるでしょう。

そう考えると、顧客の無茶な仕様変更も前向きな進歩として受け止め、怒りも和らいではくるというものではないでしょうか。

それでは、また。

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