【ニュース解説】いよいよ2020年代!AIは社会をどのように変えていく?
今後は、AIのさらなる進化が期待!
最近話題の「AI」。今後AIを活用して、暮らし・仕事がより豊かに、より便利になっていくことが予測されています。2005年に、レイ・カーツワイル氏が2045年までに人工知能が人間を超える説を唱え、2010年代は、AIの利用が徐々に広がっていき、製造業や医療の現場などで利用が始まっているほか、AIを活用した製品として「AIスピーカー」が登場しました。
2020年代になると、AIはさらなる進化を遂げるとみられますが、AIはどのように利用され、どのように社会を変えていくのでしょうか。AIの現状を把握しながら、AIの将来について考えてみましょう。
2020年時点でAIができることは?
2020年時点においてAIができることとしては、大きく分けると「認識」、「判断」、「表現」となり、認識できるものとしては「音声」、「言語」、「画像」があります。
例えば、AIが活用されている製品として「AIスピーカー」があげられます。
ユーザーがAIスピーカーに「今日の天気は?」と話しかけることによって、AIスピーカーはユーザーが話しかけた内容を音声で認識して、今日の天気の情報を収集し「今日の天気は晴れ。最高気温は15度です」というようにわかりやすい言葉で表現します。
このように、AIスピーカーはユーザーの声を聞く「音声の認識」、天気の情報を収集するという「判断」、ユーザーに伝えるために「言葉での表現」を行っており、「認識」、「判断」、「表現」の機能を全てカバーしていることになります。
また、AIの画像認識は製造業の現場においても活かされています。一例としては、たくさんの製品の中から不具合があるものを見つける作業です。
製品の不具合を見つける作業を従業員が行う場合、慣れないと難しく感じられますが、製品の不具合を見つけることができなければ、メーカーの信頼を落とすことにもつながりかねません。
その点、AIの画像認識技術で製品の不具合を認識することができれば、人間の目では見落としそうな細かい不具合であったとしても、AIによって自動的に不具合が判別されるため作業の効率化が期待できます。
2010年代の時点で、AIの技術は徐々に使われ始めるようになり、AIに関連する商品化も進んできましたが、2020年代以降は、AIの普及がさらに進むことが見込まれます。
今後、AIはどのように活用される?
今後、AIがどのようなシーンで活用されていくか、ということについては、2016年に総務省が公表した「平成28年版 情報通信白書」を参考にします。
情報通信白書においては「人工知能(AI)の利活用が望ましい分野」という項目がありますが、望ましい分野の上位5種類(内容は要約)は以下となります。
- 健康状態や病気発症の予兆の高度な診断
- 路線バスやタクシー等の高度な自動運転
- 緊急車両の最適搬送ルートの高度な設定
- 交通手段の混雑時における高度な利用者融通や増発対応
- 犯罪発生の予兆の高度な分析
参考:平成28年版 情報通信白書( http://www.soumu.go.jp/ )
上記はAIの需要が高い分野といえますが、見方を変えれば需要が高い分野ほどAIが導入される可能性が高いといえるのではないでしょうか。
2020年の時点ではこれらのAI技術は実用化されておらず、完全な実現に向けては時間を要することになります。しかしながら、これらのAI技術は早期の実現が求められています。
例えば、自動運転の完成形は「ドライバーが一切運転しなくても、自動車が安全に走行できる状態」を指しますが、これが実現することによって運送業界が抱えている労働力不足の問題は大幅に解消することが見込まれます。
また、AIによる高度な医療の診断が可能になれば、早い段階で病気を発見することが可能となり、深刻な状態になるまで病気が進行することを防げるでしょう。AIによって医療が進化すれば、健康な状態で過ごせる人が増えることも期待されます。
さらに、AIを活用して犯罪を防ぐことができれば、暮らしやすい社会が実現しやすくなることでしょう。
このように、AIはさまざまなシーンにおける導入が期待されていますが、AIを導入するメリットは業務の大幅な効率化が実現することです。
日本では少子高齢化が進み、今後は労働力不足がますます深刻化するとみられますが、そのような時代において、業務効率を劇的に改善するAIは必要不可欠な存在になるでしょう。
AIエンジニアとは? どんな能力が求められる?
AIの需要が高まると見込まれる2020年代においては、AIエンジニアの需要も高まるとみられます。
AIエンジニアには「機械学習エンジニア」と「データサイエンティスト」の2種類があります。
機械学習エンジニアの役割はAIを作動させてAIの学習能力を高めることです。AIが適切に作動するためのシステムを構築したり、AI向けの学習プログラムを開発したりしながらAIの学習能力を高めていきます。
データサイエンティストとは、データに基づいて物事の分析を行う専門家のことです。
データサイエンティストがAIについて分析する内容は、学習能力を身につけたAIがどのような答えを導き出したか、ということであり、分析結果に基づいてAIの学習プログラムを改善し、AIが導き出す答えの精度を高めていきます。
AIエンジニアに求められる能力としては、以下のものがあげられます。
・機械学習・ディープラーニングに関する知識
・プログラミングの知識(主にPython、Rなど)
・データベース操作の知識(SQL)
・数学の知識(統計学、線形代数学、確率、微分・積分など)
・データ分析能力
・論文読解力
AIエンジニアとしては、AIに関連している「機械学習」や「ディープラーニング」の知識、プログラミングの知識は必須といえますが、そのほかにも、データベースを操作する知識や数学の知識も求められます。
AIは大量のデータが含まれている「ビッグデータ」を管理し、データを分類して解析します。
AIエンジニアはAIが解析した答えを見つけるために、ビッグデータの中から必要なデータを取り出す作業を行いますが、その際にデータベースを操作する知識が必要となります。
また、AIエンジニアに数学の知識が必要な理由は、数学の知識がAIを使いこなすための道具のような役割をするからです。求められる数学の知識は、確率や微分・積分、行列などであり、高校レベルの数学が必要となります。
そのほか、ビッグデータを分析する能力や、AIに関する知識を深めるために論文を読みこなす能力も求められます。
AIエンジニアはどんな待遇を受けている?
AIエンジニアになるには、機械学習やプログラミングの知識、数学の知識など、専門的な知識が幅広く求められることが理解できたのではないでしょうか。
ここからはAIエンジニアの待遇についてみていくことにします。
AIエンジニアの平均年収については、ディップ株式会社がAI人材の求人情報を調査し、2016年11月に公表しています。それによるとAIエンジニアの平均年収は666万円とのことです。
AIエンジニアの年収の幅は300万円から1000万円となっていますが、求人募集においては年収が「応相談」となっている会社も多く、相場は安定していない状況といえます。
参考:ディップ株式会社 プレスリリース( https://www.dip-net.co.jp/files/310 )
AIの利用が広がっていく時代の流れを受け、今後もAIエンジニアの需要は高まるとみられますが、社会全体では労働力不足の傾向が続くことから、今後はAIエンジニアが不足することも予測されます。
AIエンジニアの業務は専門性が高いことが特徴であるため、プログラミングや数学の知識に詳しい人ほど、時代の最先端の職業といえるAIエンジニアが適職といえるでしょう。
(本文中の画像は写真ACより)