人工知能プロジェクトマネージャー試験の合格に向けて、各領域で参考となる書籍をご紹介します。参考書籍の内容をかさねがさね理解し、加えて実務での経験を持てば合格に近いポジションとなるでしょう。

本試験では、特に分野A~Dまでを重要視しています。この4つの分野が人工知能プロジェクトマネージャーにとっては根幹となる知見であり、価値を出すために最も有用な知識だからです。分野E~Gについては、受験者様のご経験に応じ、必要と感じる部分については改めて学習・復習されることを薦めます。

受験にあたって、下記の参考書籍をすべて読破する必要があるわけではありません。各人のご経験に応じ、不足する部分を補うためのものとしてご活用ください。

分野A:目標設定能力

問題を解くにあたり、「そもそも何を問題とすべきなのか」を考えることは非常に重要です。ツールありき、手法ありきでスタートしてしまうとプロジェクトの途中で「もともと何がしたかったんだっけ?」となって空中分解してしまうこともあります。
最後までやりきったとしても、強い意義やビジネスインパクトがあると考え抜かれたわけではない問題は、苦労に対して果実の少ない結果になることも少なくありません。それどころか「現場では意味がないことをわかりながらカタチにするためだけに行っている」ということもあるでしょう。
まず意義ある問題を定義し、この問題に対して人工知能が何を解決してくれるのかというステップを踏むことがプロジェクト成功には不可欠なのです。

問題発見プロフェッショナル「構想力と分析力」

本書は外資系コンサルティングファーム入社時の推薦図書となることも多く、著者の齋藤氏含め非常に有名な書籍です。初版は2001年とやや古いものの基本的な考え方は現在に至るまで変化なく、基本的な視点・考え方を学ぶうえで有用な示唆を提供してくれるでしょう。

意思決定のための「分析の技術」―最大の経営成果をあげる問題発見・解決の思考法

著者の後正武氏はマッキンゼーで活躍し、その後ベインの日本支社長を務めた人物であり、本書では分析の定義や目的から入って、分析というものの基本的な視点を提供しています。
前項の「問題発見プロフェッショナル」と同様、本書も初版は1998年とやや古いものの、その内容は本質的であり、ビジネス環境が変化した現在においても、おさえるべき基礎として重要な良書です。


分野B:課題解決能力

「解決すべき問題」が正しく定義されたとしても、実際に問題を解決に導くには様々な困難を乗り越えねばなりません。特に「誰にどの仕事を任せるか」「どう品質を担保するか」はプロジェクト全体の成否を分ける重要な課題といえるでしょう。
成功事例・失敗事例をふまえたうえで、プロジェクト進行のポイントを知っておくことが必要です。

失敗しない データ分析・AIのビジネス導入: プロジェクト進行から組織づくりまで

我が国におけるデータ分析サービスの老舗といっていい、ブレインパッド社のデータサイエンティスト達が実際の現場で発生したリスクや失敗事例を中心に紹介した良書です。例えば社内・クライアント調整など、データ分析で成功するために必要な泥臭い作業まで記載してあり、実際の業務を意識したときに役立つ内容になっています。
データサイエンティストとして経験のある方は体験の整理として、まだ経験量の少ない方はその補完として活用頂きたいと思います。

課題解決とサービス実装のためのAIプロジェクト実践読本

ビジネスとエンジニアリングに分けて、AIプロジェクトを円滑に回すための基礎知識をまとめています。従来のITプロジェクトとの開発体制の違い、契約に関わる問題、法律やライセンスに関連した問題、見積りに必要となる知識など、事業者側も開発者側も、プロジェクトに関わる全員が知っておくべき情報をまとめています。


分野C:統計的理解

統計的・数学的理解はデータサイエンティストにとって本丸とも呼べる知識体系です。幅広くどのような手法論があるか知り、それぞれの特徴や用い方をよく理解しておくことが求められます。
とりわけマネージャーであれば、まずベースとなるモデルを提案し、現場が詰まった時には新たな改善策を提示できなくてはなりません。自身のスペシャリティとしてある手法論に詳しいのはもちろんですが、専門でない手法論についても概略を理解し、「使える」ことが求められます。
※下記参考文献よりもさらに知識を深めたい方はオライリーシリーズを推奨します。 ただし、合格にあたってオライリーの内容すべてを正確に理解している水準は求められていません。

見て試してわかる機械学習アルゴリズムの仕組み 機械学習図鑑

代表的なアルゴリズムについて、概略でもある程度網羅的に解説した本は案外少ないものです。本書は教師あり学習・教師なし学習で用いる代表的なアルゴリズムを解説し、またそれぞれの評価方法まで言及している良書になります。
知識の整理や抜け漏れの確認に活用してください。

Kaggleで勝つデータ分析の技術

本書はデータサイエンティストにとって主たる作業の1つであるモデルの改善方法についてまとめています。題目の通り、分析コンペティションで勝つ、すなわち「未知のデータセットに対する汎化性能を上げる」ために特化していますが、こうした改善のワークフローをある程度体系的にまとめた書籍は少ないなか、良い示唆を提供してくれると思います。

門脇大輔、 阪田隆司、 平松雄司、 保坂桂佑

分野D:統計理解の実装力

統計的な理解は最も重要ですが、現場ではこれを実装して「試しながら」検討を深めていきます。そのため、ある程度実装力を持たなければプロジェクトの検討を高速にまわしていくことができません。
Pythonに代表されるモデルの実装プログラム理解や、各種ライブラリの活用方法の理解はマネージャーとしても必須の知識になります。そのうえで、近年登場するGUI型解析ツールの使い方等も問うことになります。
※下記参考文献よりもさらに知識を深めたい方はオライリーシリーズを推奨します。 ただし、合格にあたってオライリーの内容すべてを正確に理解している水準は求められていません。

東京大学のデータサイエンティスト育成講座

一般的にデータ解析で用いるライブラリの解説から始まり、Jupyter Notebookを使ったPythonの基礎的な実装までステップ・バイ・ステップで解説をしています。
本書に登場するライブラリは実務でデータサイエンスを担ったことのある方にとっては馴染み深いものです。知識の整理として、またあまり実装の経験がないままになっているマネージャーの方にとっては、いま一度の学習として本書を活用してください。

松尾豊、 中山浩太郎、 大沢文孝、 塚本邦尊、 山田典一

PythonによるAI・機械学習・深層学習アプリの作り方

機械学習から画像処理、自然言語処理、深層学習と基本的な解析からより複雑な手法を使ったモデルの作成について、具体的なケースを基に解説しています。GitHubからサンプルプログラムもダウンロードすることができるので、手を動かしながら知識を体系化していくことができます。

詳解ディープラーニング

ディープラーニングの実装についてもう一歩知識を深めたい方はこちらの本も参考としてください。


分野E:システム構築能力

人工知能エンジニアであっても、モデル周りのことだけを知っていればいいというわけではありません。2020年現在では人工知能モデル作成に標準的に用いられるのはPythonですが、Pythonの書き方だけでなく、これが動く環境やセキュリティなど、ITに関する基本的な理解もまた不可欠です。

若手ITエンジニア 最強の指南書

ITエンジニアが知っておきたい基礎知識を、20個のテーマに分けて解説しています。それぞれのテーマの必須知識として七つのポイントを取り上げ、図解とともにわかりやすく説明しています。


分野F:プロジェクト遂行能力

人工知能プロジェクトであっても、ごく常識的なプロジェクト遂行の知識は必要です。ITプロジェクトで一般的に発生する労務管理やクライアントマネジメントといった諸課題は人工知能プロジェクトであっても同様に発生する課題です。

プロジェクトマネジャーの決断 富士通の現場から

日々のプロジェクト運営の中で実際に遭遇する諸課題について、富士通のITプロマネ達が導き出した原則論・経験論が書かれています。特に日々発生する諸課題にどんな種類があるかを理解するとともに、判断の責任が集中して孤独になりがちなマネージャーにとって自身の判断の正しさを事例から確認するうえでもよい示唆を与えてくれると思います。

富士通株式会社PMコミュニティ「実践的PM力向上のための問題集検討」WG

分野G:法令理解

AI・IoT・ビッグデータの法務最前線

人工知能プロジェクトに関する法務系のトピックが網羅されています。しかし本分野は変化の大きい分野であり、最新の情報を扱うものに推薦図書を随時変更します。

岡田淳、 上村哲史、 齋藤浩貴

AI・データの利用に関する契約ガイドライン

経済産業省のまとめたデータ利用に関するガイドラインは最新の法令にそってアップデートされています。最新の情報に触れるにはこちらに目を通しておくとよいでしょう。

経済産業省「AI・データの利用に関する契約ガイドライン 1.1版」


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