生成AIだけを使って「実務アプリ」をつくる。2日間ハッカソン型「業務アプリ開発」研修とは
生成AIの進化は非常に早く、1年前とはできることも大きく変化しています。
文章作成や要約、アイデア出しはもちろん、「業務に適用するシステム」まで、生成AIを起点に組み上げられる時代になっています。そのような中で、当団体にも生成AIの活用研修をご依頼いただくことも多くあります。
一方で、企業の現場ではこんな声もよく聞きます。
・生成AIを触ってはいるが、日々の業務が本当にラクになった実感がない。
・研修でプロンプトの型は学んだが、職場に戻ると結局いつものやり方に戻ってしまう。
・DXを進めたいが、エンジニアに頼るほどでもない「小さな改善」が山ほどある。
・現場が自走して改善を回してほしい。しかしゼロからプログラミングを学ばせる余裕はない。
そこで一般社団法人新技術応用推進基盤では、生成AIを使い、実質ノーコードで“業務アプリ/AIアプリ”を作りきることを目的とした、ハッカソン型研修の提供を本格化しています。
従来の「プロンプトエンジニアリング中心」の学びだけでは得られない、実行力ある研修をご体験ください。
本記事では、新しい研修の狙い・流れ・得られる効果についてご紹介いたします。
目次
ねらいは「学ぶ」ではなく「作って、使われて、改善が回り始める」こと
生成AI活用がうまく定着しない理由の1つに、スキル不足というより「実務に接続する最後の一歩」が欠けていることにあります。最後の1歩とは、ズバリ、研修参加者自身の経験値です。
- 理屈はわかっても手を動かしたことがない。
- 動く「モノ」として完成させた経験がなく、自身がない。
- 上司や関係者にモノを納品したことがなく、利用者に評価された/指摘を基に改善した経験がない。
こうした経験が不足していると、いざ本番の業務で学びを活かそうと思っても自信がなく、躊躇がうまれてしまいます。
また日々の業務で多忙な中、「実際にやってみると違った」を繰り返している時間もありません。結果、なんとなくいつも通りの作業を続けてしまいます。
そこで私たちの生成AI研修では、研修のゴールを「理解した」「できた」ではなく、「現場で使われる最初のプロトタイプを作り、上司からフィードバックを受け、次の改善が見える状態」に置くことにいたしました。
研修の対象:プログラミング未経験の業務担当者・業務管理者の方へ
本研修は、エンジニア育成が目的ではありません。対象は、たとえば以下のような方々です。
- 日々の業務を知り尽くしている業務担当者
- 業務の標準化・効率化を担う業務管理者/リーダー
- 現場改善を推進したいが、IT部門・外部ベンダーに頼り切りにはしたくない部門
生成AIを便利ツールとして使っている状態からさらに1歩成長し、エンジニアに頼らずとも自分の業務を自分で改善できる状態を目指します。
なぜ「ハッカソン型」なのか:成果が出やすい3つの理由
プログラミング未経験者の方の中には、もしかすると「自分で業務アプリを作るのはハードルが高い」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自分でモノづくりを行い、それを完成させたという経験は大きな財産になります。
すこし大変そうと思われても、手を動かすことは非常に高い効果を得られます。
- 手を動かすことで、理解の速度が上がる
生成AIでアプリを作ることで、最初の知識が少なくとも「試して→直す」の試行錯誤を短時間で繰り返すことができます。実際の動作を見ることで、講義だけでは身につきにくい「勘所」を、短期間で体得できます。
- 成果物が残り、職場に持ち帰って評価を受けられる
研修終了時点で、少なくとも「動く試作品」と「設計のメモ」が残ります。目に見えない学びではなく、他人から評価を受けられる「モノ」があることは、適切なフィードバックを受けられることにもつながります。
- 自信と「モノづくりできる人」という評判を得られる
成果物を職場に持ち帰ることは、「モノづくりできる人(プログラミングできる人)」という職場の評判を得ることにもつながります。そうすると、ちょっとした改善の相談がその人に集まり、更に経験を積む機会を得られることにつながります。また、こうした「頼られ経験」は、その後の社会人人生を生きる重要な自信につながるでしょう。
少しハードルが高いと感じても、当団体がしっかりサポートいたしますので、ぜひチャレンジしてみて頂きたいと思います。
2日間ハッカソン型プログラム(例)
本研修は、2日間の集合研修を基本形として設計しています。
(※ 下記の流れは一例。依頼企業様のご事情にあわせてカスタマイズいたします)
—
1日目:基本の座学+例題で「アプリ作成」を体験する
1日目は、生成AIを使ったアプリ作成の考え方と基本操作を学び、例題で手を動かします。
- 生成AIでアプリを作るときの発想と手順(要件→設計→実装→テスト→改善)
- 「ノーコードで作れる範囲」と「注意すべき境界」
- 例題:入力・出力の整理、画面のたたき台づくり、動作確認 など
例題を通してモノを作ったという経験をするとともに、小さく作って動かし、直すリズムを身体で覚えていきます。
—
中間課題:自分の業務を見渡し「アプリ化/DX化したい課題」を探す
1日目と2日目の間に、参加者の方には中間課題として、現場の業務を棚卸ししていただきます。
- どこに手作業が多いか
- どこで確認・承認の往復が発生しているか
- 属人化している判断や、引き継ぎが難しい手順はないか
自分の職場にある「困りごと」を探し、「アプリ化したらよいのではないか」というアイデアを収集しておきます。
—
2日目:当団体のフレームで設計図を描き、実際に作る。最後は上司レビューへ
2日目は、中間課題で集めたアイデアを題材に、当団体のフレームを用いてアプリの設計図を描き、実際に作成していきます。
- 目的(誰の、何の時間を、どれだけ減らすのか)
- 使う人(ユーザー)と利用シーン
- 入力データ/出力結果、判断ルール
- 例外処理(うまくいかない時の逃げ道)
- セキュリティ・情報の扱い(持ち込まない情報、匿名化の工夫 など)
そして研修の最後には、参加者の上司の方を会場にお招きし、実際にアプリを触っていただいて評価・フィードバックを受ける時間を設けます。この「上司レビュー」までを組み込むことで、研修を個人の学びで終わらせず、「職場で使われる」「モノづくりできる人として業務改善の中核を担ってもらう」よう促します。
上司レビューで得られること:評価だけでなく「次の打ち手」が決まる
なお、2日目の最後に上司の方に触っていただく時間は、単なる発表会ではありません。
成果の発表会という立て付け以上に、例えば次のような価値があります。
- 業務効果の見立てが合う:アプリ開発側の意図と、現場側の実感、管理者の期待値をすり合わせられる。
- 運用の論点が早めに出る:誰がどう使うか、管理方法はどうするか等リアルな運用のイメージが深まる。
- “続けていい”のサインが出る:小さな改善でも、もし意味のあるモノと思われれば継続の後押しが得られる。
研修という学びで終わらせず、現場の工夫を組織の取り組みに変えていくために、私たちの研修ではこの時間をとても大切にしています。
どんなアプリが作れるのか:題材例
扱う題材は、参加者の業務に合わせた設計が可能です。
題材選びにおいて重要なのは、華やかなデモ作成ができそうなものではなく、翌週から使える小さな改善をピックアップすることです。業務への効果や適用範囲は企業・業務内容によって異なりますが、「動くもの」を作ることで、改善の議論が一気に具体化します。
<題材例示>
- 定型報告の下書き生成+チェックリスト化(週次/月次報告、議事録、稟議のたたき台)
- 問い合わせ対応の一次切り分け(FAQ整理、必要情報のヒアリング)
- 入力ミスを減らすための簡易フォーム化(台帳更新、申請、点検記録)
- 手順書を“検索できる知識”にするミニRAG的な仕組み(公開可能な範囲で)
- 監査・品質・安全の観点でのセルフチェック支援(抜け漏れ検知の補助)
人事・研修担当者の方へ:この研修が向いている企業の特徴
「生成AIを導入したい」という目的だけだと、研修は散漫になりがちです。また、生成AIの使い方といっても様々ございます。
本研修のような「ハッカソン型」がフィットしやすいのは、次のような企業様と考えます。
- 現場に“改善したいテーマ”が複数あり、優先順位づけに困っている
- IT部門の開発リソースは限られているが、現場の小改善は止めたくない
- 業務標準化や品質向上など、改善の目的が明確になっている
- 研修を一過性にせず、次の行動につなげる仕組みを作りたい
研修で成果物が残ることで、受講後のフォローアップ(上司面談、改善テーマの継続、横展開の検討)も設計しやすくなります。
研修後に目指す状態:現場が「自分で直せる」ようになる
ここまでご説明の通り、本研修がゴールとするのは、単発のアプリ完成ではありません。研修を通じて、参加者が次のような状態になることを目指しています。
- 課題をアプリ化できる粒度に分解し、要件として整理できる
- 生成AIを使いながら、試作→テスト→改善のサイクルを回せる
- 上司・関係者に説明し、フィードバックを取り込みながら改善できる
- “小さなDX”を現場で継続的に生み出せる
結果として、IT部門や外部ベンダーに依存しない改善領域が増え、組織としてのスピードと柔軟性を高めることができます。
まずはぜひ「ご相談」から
新技術応用推進基盤の法人研修は、「実務を研修の場に持ち込み、これを解決していくことで人を育てる」というアプローチを重視しています。また、企業様の状況を伺いながら、研修をオーダーメイドで設計することも特徴の一つです。
この新しい生成AI研修も同じ考え方で設計しています。
“生成AIを学ぶ研修”ではなく、生成AIで実務を変え、その変え方を身につける研修です。
「作りたいアプリのイメージがまだ曖昧」
「どの業務から着手すべきか分からない」
その状態からでも問題ございません。ヒアリングを通じて、貴社の状況に合う進め方をご提案します。
ご興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。研修内容・実施形式・参加人数などを伺い、最適なプランをご案内いたします。