事業企画書の顧客理解を深めるには何を整理すべきか
目次
事業企画書が通らない理由は、アイデア不足だけではない
事業企画書が通らない理由は、必ずしもアイデアが弱いからではありません。
実際には、「顧客が曖昧」「課題が浅い」「導入シーンが見えない」「誰が予算を持つのか不明」「既存代替手段との差が弱い」といった、顧客理解の甘さが原因になっていることが少なくありません。
とくに技術シーズ起点で企画を作る場合、この問題は起きやすくなります。技術そのものの面白さや独自性は高くても、顧客が採用したくなる条件が具体化されていないため、読み手が実行イメージを持ちにくいのです。
評価される企画書は、顧客と利用現場の具体性が高い
社内で評価される企画書は、技術の面白さだけでなく、顧客と利用現場の具体性が高いものです。
- 誰が困っているのか。
- 困りごとはどの業務で発生するのか。
- 今はどう対処しているのか。
- なぜ解決されていないのか。
- 導入時にどの部門が関わり、誰が賛成し、誰が慎重になるのか。
こうした論点が整理されている企画書は、読み手が実行イメージを持ちやすく、議論も具体的になります。
逆に、仮にフレームワークがきれいに埋まっているように見えたとしても、顧客理解が浅ければその内容は空疎になってしまいます。
よくある弱い企画書のパターン
あなたも、顧客理解の浅さが目立つ「弱い企画書」を目にしたことがありませんか?
例えばありがちなのは、対象顧客が広すぎる企画書です。「製造業向け」「医療向け」と書かれていても、どの部門の誰が使うのかが見えていないと、価値の具体性が出ません。
課題が抽象的すぎる企画書のパターンもあります。「人手不足を解決する」「業務効率を上げる」だけでは、どの業務がどう変わるのかがわからず説得力は弱いままです。あるいは既存の代替方法とどう戦うかが書かれていない、導入障壁が無視されている企画書も通りにくくなります。
また、よくある新規事業研修や社内ワークショップでは、各種フレームワークの記入が行われます。
もちろん整理には有効ですが、埋めること自体が目的になると、企画書は整って見えても結局内容は弱いままです。重要なのは、顧客の納得を引き出せるレベルに記入内容の理解が深いかどうかなのです。
弱い企画書は、書き方が悪いのではなく、顧客理解が足りていないことの結果として生まれるのだと言えるでしょう。
しかし…市場調査だけでは、企画書の精度は十分に上がらない
ではどうすれば顧客理解を深められるのか?
担当者はしばしば「もっと市場調査をするべきだ」と考えます。もちろん調査は重要ですが、実は調査だけでは不十分です。
なぜなら、企画書の精度を上げるには、情報を集めるだけでなく、顧客の立場で問いを立て直し、提案を何度も組み替えるプロセスが必要だからです。
数字や事例を集めても、誰のどんな不便をどう解消するのかが曖昧なら、提案は強くなりません。
企画書は対話で磨かれる
顧客理解を深めるのに有効なのが、顧客との対話を前提に企画を磨く方法です。
実顧客インタビューができれば理想ですが、しかし初期段階では調整負荷や守秘義務の壁があります。
そこで、仮想顧客ロールプレイを使うのが有効だと当団体は考えています。
そうすれば企画書を顧客役に提案するたびに、様々なツッコミを得ることができます。
「それは現場で運用できるか?」「既存システムとどうつながるのか?」「導入の決裁を通せるか?」「費用対効果をどう説明するか?」といった顧客役からの問いに応えるうち、自然に企画書の弱い点が改善されていきます。
企画書は書類ですが、その品質は対話で決まるのです。
問い返される経験があるだけで、書くべき論点の解像度が大きく上がるでしょう。
顧客理解を深めるための改善ステップ
顧客役は本当に顧客になりきって、例えば企画書の各要素を下記観点で見つめていくことが求められます。
- 対象顧客が、自社(顧客役)になっているか?なんとなく同じ業界内なら通用するような企画内容でないか?
- 自分の部門やその役割まで見こした企画か?
- 想定している課題の発生場面が明確か?それは現実的に正しいか?
- いつ・どこで・どの頻度で困る課題だと分析しているか?それは妥当か?
- 既存の代替手段(仕方なく使っている手段)の不満をきちんと把握して企画されているか?
- 導入障壁が整理され、自分たちにとって無理のない企画か?
- 予算、運用、システム連携、社内調整などに踏み込んでくれているか?
- いざお願いするとして、最初に何をしてどう進めていけばうまくいきそう、というイメージはつくか?
などです。こうした問いに応えられる企画書の内容とすると、企画書としての完成度は大きく変わります。
読み手や顧客が知りたいのは、技術の面白さより採用の現実
顧客であれ社内の決裁役であれ、企画書の読み手はその提案が本当に採用されるのかを見ています。
技術の独自性だけでなく、誰が買い、誰が使い、誰が反対し、何を先に確かめるのかが見えるほど、評価は上がります。
組織としてできる企画品質の底上げ
もし社内で「技術は良いのに企画が弱い」「提案が抽象的で通らない」という悩みがあるなら、個人のセンスに任せるのではなく、顧客理解を深める訓練機会を設計することが重要でしょう。
当団体の「顧客理解に踏み込む新規事業研修」では、当団体から市場ニーズの種を提供し、仮想顧客役として参加者様との対話を通じて企画を磨いてきます。顧客理解を深く・企画書を強くするやり方として、有効な方法の1つと自負しております。
技術者比率が高い企業ほど、顧客理解を補う設計の有無が研修成果を大きく左右します。
貴社の成長に、ぜひ当団体の法人研修を活用することもご検討ください。